一番古い古民家の屋根は、ワラ葺き屋根だった
京都の方にも、茅葺き屋根は、ありますが、この茅葺き屋根の材料は、ススキやチガヤを使って葺いております。ススキやチガヤを使って葺くと、約15年~20年くらいは、雨漏りもしないで大丈夫なようになっております。昔からこの材料を使って古民家の屋根ができていたのではなく、最初は、小麦を使ったりして屋根を作っておりました。この小麦を使って屋根を作ると、太陽がよく当たる面で8年くらい持ち、日陰の方で、4年くらいしかもたないので、葺き替えるようになります。小麦は、どこの田んぼでも栽培していたので、この小麦を使って屋根を作ったのが最初と言われております。あまった小麦は、馬小屋のうまに食べさせていたりして、人々は生活したと言われております。小麦で、屋根を頻繁に作っていた頃には、職人さんたちが、競っていろいろな難しい屋根を考えて作り、武士や商屋の家は、普通の民家と違って難しく作られたので、かっこいい屋根となっておりました。それから、こんどは、屋根の材料を強くしようというので、ススキやチガヤを使って屋根を葺くことによって、強くて格好いい屋根ができるようになりました。小麦を使って葺いている屋根をワラ葺き屋根と呼んでおり、昔からこの屋根を葺いている職人のことを、ワラ葺き職人と呼んでおりました。茅葺き屋根を葺いている人は、現在でもいて、茅葺き職人と呼ばれておりますが、小麦を使って葺いている職人は、現在では、ほぼいなくなりました。ところが、埼玉県の秩父の民宿の古民家の屋根は、小麦を使って葺いているので、これをやっている人は、誰なのか聞いたところ、ここのご主人だと言うのだから、驚きました。話を聞くと、独学で秩父で最後の職人の人の作業をみて、覚えて、現在でも、維持しているそうです。小麦は、ススキやチガヤと違って、細くて短く(約60~70cm)、これを葺いていくのには、かなりの高度な技術が必要になってきますので、かなり努力をされているのかと思います。完成した屋根を見てみると、ほとんど職人さんが作ったのかと思うほどのできばえになっておりました。屋根に興味のある方は、是非、訪れてみて話を聞くと楽しいと思われます。